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確定申告をしないといけない基準は?
給与にしろFX取引による利益にしろ、所得を得た場合は原則税金を納める必要があります。
1年間に得た所得をまとめて、所得税額を計算し国(税務署)に申告する手続きが確定申告です。
確定申告をしなければいけない基準ですが、所得がFX取引による雑所得、そして他には全くないか給与所得があるケースを想定します。
XMであれば、後述するXM年間取引報告書の「Closed Trade P/L」が、FX取引による雑所得の額と考えてください。
この額がマイナスの場合は、勤務先で年末調整が行われているサラリーマンであれば確定申告の必要性はありません。
ただし国内FXでマイナスが生じた場合は、後に説明する海外FXとの税制度の違いから、確定申告すると税負担を下げることができます。
サラリーマンの場合、FX取引による雑所得の額が20万円超の場合、確定申告が必要です。
給与の無い専業トレーダーの場合は所得税の基礎控除額38万円を超えた場合に、確定申告が必要です。
確定申告が不要でも、サラリーマンであれば雑所得の額が1円~20万円、専業トレーダーであれば38万円以下(0円・マイナス含む)の場合は、お住まいの市区町村に住民税の申告が必要です。
住民税申告書の様式は自治体によって異なり、また電子送信はできず書面提出しかできません。
ただ税額計算までは不要であり、所得の計算と年末調整で申告した控除情報の記載ができれば十分です。
申告期間は、取引が発生した年の翌年2月16日~3月15日であり、3月15日が申告と同時に所得税納税の期限です。
XMの税制度は国内FXとは異なる
XMのような海外FXは、国内FXとは同じ雑所得でも税制度が異なります。
国内FXの雑所得については、所得税率約15%・住民税率5%の一定税率で課税される分離課税の雑所得に該当します。例えば年間の雑所得額が30万円であれば、約6万円課税されます。
XMのような海外FXでは扱いが異なり、他の所得と合算して所得税率(5%~45%)が決まる総合課税の雑所得となり、住民税率も10%と高いです。
所得税率は課税所得195万円までの部分に対しては5%、195万円超330万円以下の部分には10%…と課税所得が高くなるにつれ上昇します。
このため年間の雑所得額が同じ30万円でも、給与所得など他の所得により4.5万円~16.5万円と課税額に幅が出ます。
また損失が生じた場合の扱いも異なります。国内FXで損失が生じた場合、その後3年間繰り越しができ、その間に国内FXによる所得が発生したでも税負担を下げることができます。
例えば2019年に国内FXで20万円の損失が生じ、2020年に国内FXで30万円の所得が生じたとします。
30万円の所得があれば通常は約6万円課税されますが、2019年の損失を繰り越すことにより20万円の損失と相殺されるため、課税される雑所得は10万円に減少します。このため、税負担は約2万円に下がります。
海外FXは損失の繰り越しができないので、その年に他の雑所得がある場合を除き、損失を申告する意味はありません。
また国内FXと海外FXは税制度が異なるため、例えば海外FXの損失20万円と国内FXの所得30万円を通算するようなことはできませんし、逆に国内FXで生じた損失で海外FXの税負担を下げることもできません。
確定申告をするために必要な書類
確定申告・住民税申告に必要な書類は、得ている所得や受けたい控除によって変わってきます。
ここでは給与所得と、XMなどのFX取引による雑所得を得ているサラリーマンの事例で考えます。
給与所得の源泉徴収票と、FX取引の年間取引報告書が必要です。
なお源泉徴収票は2019年4月から、年間取引報告書は元々提出義務が無いのですが、計算するための資料としては用意する必要があります。
職場で年末調整が終わると、年末か遅くとも1月いっぱいには、職場から「給与所得の源泉徴収票」が発行されます。
源泉徴収票には申告に必要な給与所得の額・源泉徴収税額や、扶養控除・保険料控除などの控除額が記載されています。
そしてFX取引において用意すべき書類が、年間取引報告書です。
XMの場合は、ソフトから取得する必要があります。手順ですが、MT4の「口座履歴」のタブを開き、右クリックしてメニューから「期間のカスタム設定」を選びます。
例えば2020年2月に2019年分(令和元年分)の確定申告を行いたい場合は、開始は「2019.1.1」と入力し、終了は「2019.12.31」と入力します。するとこの期間の取引履歴が表示されます。
そして、この段階でまた右クリックを行い、メニューから「レポートの保存」を選択します。すると、確定申告に必要な年間取引報告書がHTMLで保存されますので、印刷します。
XMで言えば年間取引報告書の下部、「Closed Trade P/L」の金額が申告に必要な金額です。
確定申告の手順を解説
所得がXMの雑所得、そして他には全くないか給与所得(勤務先は1カ所のみ)があるケースを想定します。
以下、確定申告・住民税申告の手順を説明します。住民税の申告を行う方は「2.所得・控除計算」「3. 住民税の徴収方法を選択」「5.申告書提出手続」を参照してください。
1.申告方法の選択
手書きで確定申告書を作成するよりは、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使用したほうがいいため、作成コーナーによる手順を説明します。
確定申告書の提出方法としては、税務署の窓口に書面で提出する方法の他、オンラインでの電子送信を利用する方法があります。
2019年の確定申告期間からは当面の間、税務署の窓口で本人確認が行われたうえで利用者識別番号が発行されている場合は、マイナンバーカードなしに電子送信を行うことが可能になりました。
利用者識別番号が発行されている場合は、「e-taxで提出する」→「ID・パスワード方式により提出する」を選択し、利用者識別番号とパスワードを入力してから申告画面に進みます。
マイナンバーカードとカードリーダーがある場合は、「マイナンバーカード方式により提出する」で電子送信を行うことも可能です。
2.所得・控除計算(住民税申告と共通)
まずは給与所得の入力・記載方法です。
源泉徴収票の支払金額・源泉徴収税額(確定申告のみ)・保険料の額及び扶養家族の状況を転記すればいいだけです。
雑所得(その他)に関しては、まず収入金額の欄に「Closed Trade P/L」の額を転記します。
そして確定申告においては、種目・支払者の名称・所得の生ずる場所を、下記のように記入すればよいです。
- 種目:海外FX
- 支払者の名称:Trading Point Limited
- 所得の生ずる場所:Eden Island,Seychelles
- 支払者の名称:Trading Point Limited
最低限ここまで入力すれば、所得税額の計算は自動で行われます。
3.住民税の徴収方法を選択(住民税申告と共通)
申告終了後に、5月頃にお住まいの自治体のほうで住民税の計算が完了します。
サラリーマンの場合は給与から差し引かれますが、給与所得以外にかかる住民税は、給与から差し引き以外に、納付書を使って自分で納付する方法も選択できます。
FX取引を勤務先に知られたくないような場合は「自分で納付」を選択します。
4.所得税納付方法の選択
所得税納税の主な方法としては、税務署指定の納付書に記載して税務署窓口や金融機関で納付する方法のほか、口座振替・クレジット納付・コンビニ納付もあります。
振替納税の口座引落日は1ヵ月以上遅く4月20日頃になりますが、初回引落の際には3月15日までに届出が必要です。
はじめて口座引落を利用する場合は、納税額の確認画面で「振替依頼書を作成する」を選択すると、確定申告手続の最後の段階で振替依頼書のPDFを出力できます。
納税額が30万円以下の場合は、「納付用QRコードを作成する」を選択すると、コンビニ納付用QRコードのPDFを出力できます。
5.申告書提出手続(住民税申告と共通)
電子送信の場合は、あとは画面に従って送信手続まで行えば確定申告手続は終わります。
確定申告書を印刷して提出する場合、PDFで出力・印刷し税務署窓口に提出します。
住民税申告書の場合は、市区町村に提出します。
6.所得税納税
初めて口座引落を利用する場合は、3月15日までに銀行印を押印した振替依頼書を、税務署窓口もしくは金融機関に提出します。
それ以外の方法では、指定の納付書等を利用し確定申告書に記載された納税額を、3月15日までに納める手続きを行います。